雇用

障害者雇用の進め方 完全ガイド|制度・採用・業務設計・定着まで一気通貫で解説

障害者雇用をこれから本格化する担当者向けの完全ガイド。法定雇用率や納付金などの制度、必要な雇用数の考え方、業務の切り出し・採用・受け入れ・定着・開示までを一気通貫で解説し、関連する実務記事と無料の診断ツールへ案内します。

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障害者雇用の進め方とは、法定雇用率などの制度を理解したうえで、必要な雇用数の把握から、職域の設計・採用・受け入れ・定着・開示までを、一連の流れとして設計する取り組みです。本ガイドは、担当者が全体像をつかみ、各実務へ進むための出発点として、要点と関連記事・診断ツールをまとめています。

この記事のポイント

  • 障害者雇用は「制度理解→必要数把握→職域設計→採用→受け入れ→定着→開示」の流れで設計する
  • 法定雇用率は2.7%・対象は常用37.5人以上(2026年7月に施行済み)
  • 法定雇用率の達成は出発点。定着・戦力化までを一体で設計する
  • 各ステップの詳細は関連記事へ、必要数の概算は雇用率シミュレータへ

障害者雇用は、採用して終わりではありません。制度の理解から、自社に必要な雇用数の把握、任せる業務の設計、現場の受け入れ、そして長く活躍してもらうための定着支援まで、一連の取り組みとして設計することで、はじめて自社の力になります。このガイドでは、その全体像を6つのステップで整理し、各実務の詳しい解説記事と、無料の診断ツールへ案内します。

障害者雇用の進め方:全体像(6ステップ)

まずは全体の流れをつかみましょう。各ステップは独立しているのではなく、前後がつながっています。

障害者雇用の進め方 6ステップ
ステップ やること
1. 制度を理解する 法定雇用率・対象・カウント方法・納付金を把握する
2. 必要数を把握する 自社の労働者数から必要な雇用数を試算する
3. 職域を設計する 業務を切り出し、任せられる仕事をつくる
4. 採用する 自社採用・人材紹介・在宅などの採用経路を確保する
5. 受け入れる 現場の体制を整え、配慮を準備する
6. 定着・開示 定着を支え、取り組みを開示する

1. 制度を理解する

法定雇用率と対象企業

民間企業には、常時雇用する労働者数に応じて、一定割合以上の障害のある方を雇用する義務があります。この割合が法定雇用率です。2026年7月に法定雇用率は2.5%から2.7%へ引き上げられ、対象となる企業規模も常用労働者37.5人以上へと広がりました(施行済み・現行制度)。

法定雇用率 改定前後の比較(概算の目安)
項目 改定前(〜2026年6月) 現行(2026年7月〜)
法定雇用率 2.5% 2.7%
対象企業規模 常用40人以上 常用37.5人以上

2.7%改定の詳細は、障害者法定雇用率2.7%への対応ガイドで解説しています。

雇用数のカウント方法

必要な雇用数を数えるとき、すべての方を一律に1人と数えるわけではありません。重度の方や、短時間勤務の方には、カウントの特例があります。

雇用数カウントの主な区分(目安)
区分 カウント
週30時間以上 1
重度・週30時間以上 2(ダブルカウント)
週20〜30時間未満 0.5
重度・週20〜30時間未満 1

短時間や重度の区分により数え方が変わるため、自社の従業員構成に当てはめて確認することが大切です。

障害者雇用納付金と調整金

常時雇用する労働者が一定数を超える企業では、法定雇用率が未達成の場合、不足数に応じた障害者雇用納付金の納付が必要になることがあります。反対に、超過して雇用する場合は、障害者雇用調整金の対象となることがあります。ただし、納付金の納付は雇用義務を果たしたことにはならず、達成に向けた取り組みは引き続き求められます。毎年6月1日の報告や行政指導への対応は、障害者雇用状況報告と行政指導・納付金対応で解説しています。

2. 必要な雇用数を把握する

制度を理解したら、自社に必要な雇用数を把握します。必要数は、労働者数に法定雇用率を掛けて算出しますが、カウント特例があるため、実際の従業員構成に当てはめて試算するのが確実です。

当サイトの雇用率シミュレータでは、従業員数などを入力するだけで、必要な雇用数の概算を無料で確認できます(入力値はブラウザ内で処理し、送信しません)。

3. 職域を設計し、業務を切り出す

「任せる仕事がない」という悩みの多くは、仕事の不在ではなく、業務が大きなまとまりのままで、分解・再設計されていないことに起因します。業務を工程単位に分解し、定型的な作業を切り出すことで、任せられる仕事は見えてきます。具体的な進め方は、業務の切り出し・職域開発の進め方で詳しく解説しています。

4. 採用経路を確保する

採用の経路には、自社での直接採用、人材紹介の活用、在宅・テレワークを前提とした採用などがあります。自社の職域や体制に合わせて選びます。通勤が難しい方の戦力化や、全国からの採用を目指すなら、在宅・テレワークで進める障害者雇用が参考になります。

支援サービスや人材紹介の事業者は複数あり、費用や支援範囲はさまざまです。一社に絞る前に、当事者参画などの観点で中立的に比較して選ぶことをおすすめします。

5. 現場の受け入れ体制を整える

採用後の定着は、配属先の現場の受け入れ方で大きく変わります。配属前の情報共有(本人の同意の範囲で)、担当業務と役割の明確化、管理職の理解と研修が、現場の不安を期待へと変えます。詳しくは、現場の受け入れ体制づくりをご覧ください。

6. 定着・戦力化を支える

採用した方が力を発揮し、長く働き続けられるよう、合理的配慮の合意、定期的な面談、体調の波を前提とした業務設計などで支えます。とくに精神障害のある社員の定着は、本人の努力ではなく職場の仕組みで支えることが基本です。精神障害のある社員の定着支援で実務を整理しています。

7. 取り組みを開示する

人的資本開示の広がりにより、障害者雇用の取り組みは、投資家や求職者へ開示する対象になりつつあります。雇用率などの量だけでなく、定着や合理的配慮の体制といった質を示すことが、信頼につながります。人的資本開示とD&Iで解説しています。

無料で頼れる外部相談先

すべてを社内だけで進める必要はありません。公的な相談先は無料で使えます。

  • ハローワーク(専門援助部門) — 求人・採用の相談から雇用管理の助言まで。最初の窓口として最適
  • 地域障害者職業センター(JEED) — ジョブコーチ支援・職務再設計など専門的な支援
  • 障害者就業・生活支援センター(なかぽつ) — 就業と生活の一体的な支援。企業からの相談も可能
  • 産業保健総合支援センター — 治療と仕事の両立支援・メンタルヘルス対策の相談

はじめての1人を迎える中小企業へ

2.7%への引き上げで、はじめて雇用義務の対象になった中小企業も少なくありません。最初の1人の受け入れ経験が、その後の自社の雇用文化を決めます。焦って「席だけ用意する」のではなく、①業務を1つ切り出す→②実習で相性を確かめる→③配慮を対話で決める→④定期面談で調整する、という小さなサイクルから始めてください。人数が少ない会社ほど意思決定が速く、対話が近い——中小企業ならではの強みが活きる領域です。

「数合わせ」で終わらせないために

法定雇用率の達成は、障害者雇用の出発点であり、目的ではありません。採用した方が持ち味を発揮し、チームの一員として活躍できる職場を整えること——定着と戦力化——を同時に設計してはじめて、制度は自社の力になります。意思決定層や現場に当事者がどう関わるか(当事者参画)や、医療に隣接する情報の医師監修といった、質と信頼を高める工夫も、これからの障害者雇用では重要になります。

よくある質問

障害者法定雇用率はいつ2.7%になりますか?
2026年7月に施行済みです。民間企業の法定雇用率は2.7%、対象は常用労働者37.5人以上です。
障害者雇用は何から始めればよいですか?
まず制度を理解し、自社に必要な雇用数を把握することから始めます。次に、任せる業務の設計、採用、受け入れ、定着へと進めます。
必要な雇用数はどう計算しますか?
労働者数に法定雇用率を掛けて算出します。重度や短時間のカウント特例があるため、雇用率シミュレータで概算を確認すると確実です。
納付金を納めれば雇用しなくてよいですか?
いいえ。障害者雇用納付金の納付は雇用義務を果たしたことにはならず、達成に向けた取り組みは引き続き求められます。
「任せる仕事がない」ときはどうすればよいですか?
業務を工程単位に分解し、定型的な作業を切り出すと、任せられる仕事が見えてきます。複数部署の作業の集約やデジタル化も有効です。
在宅での障害者雇用は可能ですか?
可能です。テレワークを前提に業務を設計すれば、通勤が難しい方の戦力化や、勤務地にとらわれない採用ができます。
定着のために最も大切なことは何ですか?
本人の努力に委ねるのではなく、合理的配慮の合意・定期的な面談・体調に配慮した業務設計など、職場の仕組みで支えることです。
小さな会社でも支援を受けられますか?
受けられます。ハローワーク・地域障害者職業センター・なかぽつなどの公的支援は企業規模を問わず無料で利用できます。
採用までどのくらいの期間を見ればよいですか?
準備から入社まで、おおむね3〜6か月が一般的な目安です。業務の切り出しと受け入れ準備に時間をかけるほど、入社後の定着は安定しやすくなります。
求人はどこに出せばよいですか?
ハローワークの障害者求人が基本の窓口です。募集から面接までの実務は障害者採用の進め方ガイドにまとめています。専門の人材紹介サービスや、就労移行支援事業所との実習経由の採用も、ミスマッチの少ない有力な経路です。
在宅勤務でも雇用率に算入できますか?
できます。常用雇用であれば勤務場所を問わず通常どおり算定されます。通勤が難しい方の戦力化策として在宅雇用も検討できます。
まず何から相談すればよいですか?
管轄ハローワークの専門援助部門が最初の窓口として適しています。自社の状況(人数・業務・不安な点)を伝えれば、次の支援へつないでもらえます。

出典: 厚生労働省「障害者の法定雇用率の引上げ等について」「障害者雇用状況の集計結果」および独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の公表資料(最新の年度版)をご確認ください。